Tuesday, December 24 2024 @ 04:21 AM JST

離島旅を振り返って―対談

「離島旅を振り返って・・・」

対談―――――鉄人(池内嘉正)・小鉄(池内ミドリ)

小鉄 どの島も本当に奇麗だったけれど、私 が一番印象に残ったのは「父島」の海だったワ。 とにかく海の色が全然ちがってた。
鉄人 東京から千キロも離れているところやからゴミ一つない。海もまず無色透明-コバルト ブルー空の色-紺碧-深みのある美しさ…と何段階にも見事に変化していたなぁ。
小鉄 海外でいうとエーゲ海に近い? でも私は父島の海がNO1やワ。エーゲ海のはエメラ ルドグリーン。こちらは白砂があり、そこから 何層にも色が変化して…。
鉄人 ウン、あの良さは行ってみんとわからん。ゾクゾクするぐらいやったけど…。
小鉄 屋久島の自然も、とても神秘的。現世とは違う…という感じ。
鉄人 そやったナ。奄美群島は1回も沈まん かった。そやから4千年もある屋久杉が荘厳な感じで残ったんや。苔もなみの苔とは違う。
小鉄 シーンとして音もしないし、観光客もほとんどいない。私たち二人だけが自然の中 に包み込まれていく…。写真をせっせと撮って、帰ってから見ても、あの現地の鬱蒼としている感じは写真では伝えられないわネ。
鉄人 行って、聞いて、見て…や。いわゆるセッ トになったツアーは便利やが、パターン化して いる。その点、我々の旅は下調べや事前の連絡、手配が手間ヒマをかけるが、その分だけハプニングというやつがあって「これは何?」という“楽しみ” がある。そうそう、グリーン ペペ(光るキノコ=母島)も幻想的やったが、おまえはダウンして父島に残って見られへんかったんやネ残念ながら。
小鉄 私は利尻島の、利尻富士が見守っているような感じのサイクリングロードも良かった…。あのさわやかさもすごく印象に残っているワ…
鉄人 あの島は高校時代の 卓球部の仲間夫婦と一緒やったナ。サイクリングは朝、船の出発までの時間に急に思いついて「行こう!」となった。姫沼までみんな若返ってルンルンや。ここ 40 年間で味わったことの無い爽快なサイクリングやった。でも、僕は礼文島がすきやね、高山植物の可憐な花々が絶壁にしがみつくように咲いているのがいい。それにウニのうまいこと。「ウニギリ」は絶品やった…。もう一回、あのバフンウニのどんぶりを食べたい! と思うね。それで僕は礼 文「党」や!(笑い)
小鉄 ここだけやわネ、夫婦で利尻と礼文で意見が別れたのは…。おいしかった! といえば、私が印象に残るのは福江島のハコフグのみそ焼き(カットッポ)かナ。それに粟島の民宿のお造り、わっぱ煮。ご主人の工夫が料理にいきていたワ。ま、どの島もお造りは美味しかったけれども…。
鉄人 神津島の「タカベの背ごし」もうまかった。それにクサヤ。ほんまもんのクサヤの味、これはおつなもんやったナ、やっぱり、なんでも“地元”で食べるもんやなぁ。
小鉄 私はクサヤはそれほどでもないワ…おいしかったけどネ(笑い)
鉄人 篠島の「あなご寿司」日間賀島の「かしき料理」の伊勢エビの宝楽焼きも美味かった…。平戸島の「しめサバ」。このサバのサバより旨いサバはなし…と一句詠んだほどのサバやったナ。
小鉄 最後の伊予大島の民宿「とも」で食べたメバルの煮付けも…。
鉄人 あんなメバルにはちょっとお目にかからんなぁ。しかし、離島は海の幸に恵まれているとはいえ、いきあたりばったりで「美味しい もの」に巡り合うわけはないわナ。
小鉄 あなたのおいしいお店選びの“嗅覚”のポイントって何?
鉄人 そやな
まず案内書で調べる。
現地の人に聞く。「この店とこの店とどっちがいいですか?」と。
宿泊先でも聞く。(宿によっては夕食抜きを嫌がるところがあるから、ちゃんと夕食は外でという希望を伝えて予約すること)
その宿で聞いた店と、自分が調べておいた店が同じなら、まずドンピシャ。
それが違っていたら、ねらいを定めた店を昼の間にリサーチする。
イメージ通りの“店構え”だったら、まずまちがいなかったナ。
=あんまり大きくない店(大きな店は定食的なものがある)
=カウンターがあり小机があり、おやじさんが自分で調理をやっていそうな店。
=会話が出来そうな店であること。
=豪華すぎないことかな。それに“食いいじ”がはっていることや…。そのために昼は軽くウドンだけとか…がまんせにゃあ!
小鉄 :池内ミドリ
鉄人:池内嘉正
小鉄 :池内ミドリ
鉄人:池内嘉正
小鉄 今度の旅で、あなたが残念がってのは鷹島の…。
鉄人 そや、養殖のトラフグ料理が有名で、たまたま店が定休日でお目にかかれんかったなぁトラフグ様に(笑い)。あれは残念やった。
小鉄 入ってみて、想像した以上に店の雰囲気がものすごく良くて、おやじさんが一生懸命だったのが因島の炉端焼き「伊呂里」でしたネ。
鉄人 ウン、あれはトクした気分やったナ。おいおい、ところでかんじんなのを忘れてるデ。石垣島の『石垣亭』のトンカツ。ロイヤル・ホテルでの『完島記念パーティ』でも出店してもろたらアッという間に“売り切れ”になったほどに美味かったもんナ。ほかにもうまいもんはいっぱいあるけど…。ところで、その他に印象に残ってるのは…どこや? 僕は伊豆諸島の神津島、式根島のいろいろな露天風呂のあじわいが心に残ってるワ。
小鉄 私は「日本最南端」の波照間島の南十字星の美しさ。ニシ浜ビーチの海もきれい。映画『紅の豚』 の最初と最後のシーンの浜辺みたいな感じで…。
鉄人 袖触れ合うも多少の縁…というけれど、島での“人情”もうれしかった。旅をしたあとに群発地震が襲った伊豆諸島の人々、今でも顔が浮かんで胸が痛むわ。
小鉄 車が故障して、いきづりの島の人がもくもくと修繕してくれたり、それぞれの島で親切にされて…素朴な地元のお年よりとすっかり仲良くなったり…今思い出しても、熱いものがこみあげてくるワ…。日間賀島の旅館の若女将さん。けなげに、てきぱきと行き届いていて、歳を聞いたら娘と同じぐらいでびっくりしたり…。素晴らしい人も多かったワ。あげたらきりがないほど、いろんな人の人情とやさしさに支えられたことが、この旅の一番の“収穫”やったんと違う? それと、いいお天気に恵まれたのも、旅を楽しめてよかったワ。
鉄人 そやなぁ…。もう一つの収穫は…二人で島巡りをしたこっちゃ。最初にこの『六十歳で 60 の離島めぐり』を思いついた時は“一人でゴルフバッグかついで、ノンビリといこか…”という不埒な考えやったヨ。それが、一人で風呂に入り歌っても、うまいもん食うても、これが感動せんのや(笑い)。それで、おまえが一緒なのがやっぱりよかったワ…。
小鉄 私は内心は“半分の 30 島ぐらいは付き合うけど…”とシブシブのつもりが、最後は“ついていってよかった!”とシミジミ思った。ただ、ひたすら、美しい景色、おいしいものを食べて …だけやない、豊島のダイオキシン、家島の削られた山の姿も見て感じることも多かったし …。
鉄人 最後の 60 島目の伊予大島の『島四国』 お遍路行はエエ体験やったし、もう一度いきたい。いや、どの島も、そこで巡り合った人々にも“もう一度会いたい”と思うナ。「旅先で出 会った人は一生忘れない」というけどホンマやな。あらためて「自然の美しさ」に恵まれたこの"うまし国"に感謝や・・・。

■対談――鉄人(池内嘉正)・小鉄(池内ミドリ)

Last Updated: Wednesday, September 10 2008 @ 10:48 AM JST| Hits: 8,906 View Printable Version