離島60めぐり---第26訪島(2)
神島(かみしま)
●志摩諸島_三重県
三島文学『潮騒』の舞台
漁師の青年新治と若い海女・初江の淡い恋を描いた三島由紀夫の名作『潮騒』が発表されたのは54年(昭29)である。
あれからもう40年以上が過ぎたが、文庫本をもう一度引っ張り出して読んでみた。
当時はベストセラーであった。
小説では「歌島」となっているが舞台となったのはここ『神島』である。
二人の若者が心を熱く焦がすような愛に落ちていく…
八代神社に続く長い石段、二人が裸で抱擁を交わした廃墟などが日常の風景の中に今も健在している。
その同じ道を小鉄と二人、三島由紀夫の世界にひたって歩いてみた…。
港のすぐそばに八代神社への矢印がある。
214段の急な階段、気温は30度以上。
10分も歩くと汗がドドーッ。
平成の新治と初江もロマンチックな気分はどこかに吹き飛んでしまった…。
島の道は狭口と云われる細い道。
家が密集していて、町角には必ず「道中タバコ禁止」の看板がある。
これは男が漁に出たあと、島を守るのは15人の女消防団の「火の用心」の必死な願いなのである。
神島の漁港