離島60めぐり---第20訪島(2)
奥尻島(おくしりとう)
●北海道
望郷の彫刻と、
地震の慰霊碑が胸をうつ リフレッシュアイランド
函館から空路40分。
その昔、なさぬ恋、叶えられぬ愛を追った若い恋人たちは、内地から北の国へ逃れるしかなかった。
その悲しい恋の逃避行を“支えた”のが、ここ北の海に浮かぶカムイオクシリ(奥尻島)だったという。
美しくも哀しい恋物語のすべてを海と山が包んでくれそうなイメージとやさしさの漂う島である。
自然を壊すことをさけるために、けもの道による設計で建てられた『北追岬公園』にある彫刻。
哀しみの海に抱かれて、見る人に背をむけ、海に向かって立っている。
つまり人のためにのみ造られたものではなく「海もこれを眺める権利を持っている」と作者・流政之氏のポリシーがうれしい。
第2次大戦後、国後島から、この奥尻に生きる道を求めて渡ってきた280人の人々の“望郷の想い”がここに込められている。
彫刻の前に立つとき、遠く水平線を眺め、何かをジッと待ち、いつの日か故郷の国後島に帰る日を海に祈っているようにも感じた。
海に向かって立つ北追岬公園の彫刻