離島60めぐり---第59訪島(4)

 飛島(とびしま) 

●山形県

 宿は港のそば。
明治4年から創業の船宿『なごし旅館』。
部屋の間取りは広く、大きな桜の木の床柱は昔をしのばれる風格の建物。

日本の島再発見_山形県_飛島_なごし旅館-女将4代目-斉藤孝子さん
なごし旅館 女将4代目 斉藤孝子さん

 4代目女将・斎藤孝子さん(62)が腕にヨリをかけた夕食は食べ切れない程の海の幸が並んだ。

今朝採れた「黒ソイの姿造り」は6人前程のボリューム。
「ひと口あわび」はテーブルの上でまだ動いている。

蒸し「女(め)イカ」はおなかに子がたっぷり。
モッチリとして舌が喜びそうな味。

日本の島再発見_山形県_飛島_おなかに卵がたっぷり女イカ
おなかに卵がたっぷり女イカ

島でしか味わえないこのうえない“贅沢”にごちそうさん。


 翌朝、宿の坂口祐子さん(48)の案内で『賽(さい)の河原』へ。
勝浦地区の人たちが、海で亡くなった人にお供物を持ちよってお参りするのは毎年5月18日のことだそうだ。
誰が…というわけでもない河原の石が、あちこちに積み上げられていた。


 『海岸遊歩道』は岩また岩の見ごたえのある景勝地。
天然記念物の岩松や珍しい「トビシマ“マイマイ”」それに島の人のとびっきりの親切…。

味わい深い旅のみやげを両手にいっぱい…。
小鉄も船の時間まで双眼鏡を手放せない様子。
だんだん去りがたくなる郷愁が漂う島である。


『新緑の 木々に飛び交う 鳥の声』