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日本の島再発見 家島_兵庫県 10月16日(木) (P132.133)

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日本の島再発見 離島60めぐり---第58訪島(2)

 家島(いえしま) 

●家島群島
_兵庫県

夕鶴のような哀しさを背負う島


 姫路港から真浦港まで高速船で30分。
播磨灘に浮かぶ家島本島、坊勢島、男鹿島、西島など大小40余りの島々。


 家島が近づくにつれ異様な光景が目に飛び込んできた。
島の半分が消失したかの様な男鹿島、西島の頂上に『コウナイの石』と呼ばれている大きな石があるが、北側は両方から深く削りとられた茶褐色の岩肌が垂直にせまる。

いまにも崩れ落ちそうで痛々しい。
その切り取られた山の向こうに空と海が広がり、かえってそれも“悲しい”デフォルメ…。
ダンプカーやショベルカーの姿もあった。

日本の島再発見_兵庫県_家島群島_家島_島の半分が削り取られた岩肌
島の半分が削り取られた岩肌


 新空港の建設工事で島の採石業は活況を呈している。
その石材運搬のガット船が数十隻ズラッと浮かぶ光景は圧巻だ。


 日本の島々は産業が少なく過疎化が進むなかに、この家島は採石・海運・漁業の三本柱で“裕福”な自治体だ。
港が近づくと、他の「島の港」とはまったく違う“表情”をもっていた。

港の玄関口付近には立派な病院や区民センターの近代的な建物が威容を誇っている。


 今は「新神戸空港」と「関西空港」の工事で、採石の需要がありガット船は早朝の午前3時頃から動きだす。


 しかし、リッチになったその一方で自然と共に暮らす…という島独特の静けさも削られる。
ある雑誌で、自らの羽根で美しい織物を織り上げていく名作『夕鶴』の「つう」に似ていると哀しみをこめて、この島のことを「夕鶴の島」と書いてあったが、まったく同感だ。